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フランチャイズ契約に関する裁判例の紹介

加盟店のロイヤリティ等の不払い及び競業避止義務違反

ロイヤリティ等の不払い及び競業避止義務違反を理由に、加盟店に468万円以上の支払い義務が認められるとされた事例(平成29年5月31日横浜地裁判決)

<事案の概要>
1 Y(加盟店)は、もともと宝石や骨董品の買取業を営んでいたが、平成23年、X(本部)との間で貴金属や骨董品等の買取り及び販売を行うフランチャイズ契約を締結し、本件契約に基づいて、平成27年までにA店、B店、C店の3店舗を経営していた(以下、A店ないしC店にかかるそれぞれの契約を「本件各契約」という。)。

2 Yは、平成27年、Xの許可無く独自広告を出したこと等をXからとがめられ、平成28年1月、「今後はXの指定する方法によって販売促進活動を行うこと、Xの従業員の助言・指導に従うこと、及びこれらに違反した場合には、契約を即時解除されることについて異議を申し出ないこと」等を内容とする誓約書(以下、「本件誓約書」という。)に署名・押印した。

3 本件誓約書の作成から4日後、Yは、X法務部統括本部長であったPと、独自広告の件で、電話でやりとりをした(以下、この電話でのやりとりを「本件電話」という。P及びYの証人(本人)尋問の結果、このときの会話の内容についてのYの言い分は事実として認定されていないが、Yは、「Pから『契約解除』と連呼され、本件誓約書に違反するなどと脅かされたため、『分かりました、契約は解除で結構です。』と回答した」と主張していた。)。

4 本件電話からさらに10日後の平成28年1月26日、Xの依頼を受けた弁護士は、Yに対して、独自広告を行ったことについて、契約違反の事実調査のため、広告の媒体、内容等について回答を求めるとともに、「本件誓約書に違反した場合、XはYとの契約を即刻解除できることを改めて承知の上、速やかに回答を行うように」というような内容の通知を出した。
Yはこの通知に対して、平成28年2月18日、「本件電話の際、Pから本件各契約を解約するとの提案があり、その場でYも提案に応じて解約するとの返事をしたので、本件各契約は終了した」旨の記載をした回答書(以下、「本件回答書」という。)を出した。

5 Yは、平成28年2月以降、Xに対して本件各契約に基づくロイヤリティ及び広告協賛金(3店舗分で1月あたり計64万8000円)を払っていない。

6 同年2月、A店のあった店舗で、「遺品整理D」との看板が掲げられ、Yが資本金を全額出資して設立し、唯一の代表取締役に就任していた訴外会社Qが営業を行っていた。B店及びC店があった店舗では元の看板が外され、改装中との表示がされていた。その後、C店があった店舗では、Qが「E買取センター」の営業を行っていた。

7 本件各契約では、それぞれ、Yに対して契約期間中及び契約終了後一定期間(1~2年)、A店及びB店についてはいかなる場所においても商品買取業等の経営等が禁止され、C店については店舗と同一又は隣接する件においてC店で行っていた事業と類似の事業の経営等が禁止されていた。そして、当該競業避止義務に違反した場合には、ロイヤリティ及び協賛金の36か月分の金額(777万6000円)を違約金として支払うことが規定されていた。

8 Xは、Yとの契約が継続しているとして、本件各契約に基づく、平成28年2月分以降、契約が終了するまでのロイヤリティ及び広告協賛金と、競業避止義務違反に基づく違約金2332万8000円の支払を求めました。これに対してYは、①本件電話により本件各契約は終了した、②「遺品整理D」や「E買取センター」はQが営業しているものであるし、遺品整理業は、商品買取業等にあたらない、③本件各契約における違約金の規定は、公序良俗違反として無効であるなどと主張して争った。

<判決の概要>
① 本件各契約の終了について
・仮にPが「契約解除」と連呼したのだとしても、Yの債務不履行が原因であるから、それは合意解約の意思表示ではなく、債務不履行解除の意思表示である。
・そうすると、Pの意思表示に対して、Yが「分かりました、契約は解除で結構です。」と回答していたとしても、これにより本件各契約を解約する旨の合意があったとは認められない。
・本件各契約には、Yが3ヶ月の予告期間を設けて書面により契約の中途解約の申入れをすることができる旨の規定があり、本件回答書はこの申入れに当たるから、本件回答書の送信から3ヶ月の経過をもって本件各契約は終了した。
・したがって、Yは契約終了までのロイヤリティ及び協賛金(約209万円)

② 競業避止義務違反について
・QはYが全額出資し、唯一の取締役に就任している会社であることからすれば、Yが「遺品整理D」及び「E買取センター」の事業を営み、当該事業に出資したものである。
・「遺品整理D」では古物買取を行っており、同店の看板には「価値のある物高価買取りいたします」などと表示されており、商品買取業が行われている。
・「E買取センター」は、その名称自体や、看板に「高価買取」と表示があり、C店と同種・類似の事業が行われている。
・B店については、改装中となっていたのみでは競業を行っていたとは認められない。

③ 違約金の定めの公序良俗違反について
・本件の違約金の定めは、違約罰(罰金)であり、損害賠償とは性質が異なる。
・A店ないしC店の店舗があった場所で競業行為を行っている本件においては、競業行為を行う場所が限定されず又は隣接県にまで及んでいる点は公序良俗違反の判断に影響しない。
・契約終了前に競業を行ったYの行為は悪質だが、競業を行った期間はまだ短く、それと比べれば違約金の額は高額である。
・XがYの競業行為によって商圏を失うなどの損害を実際に受けたことは認められないが、Yが本件で違約罰を免れれば、今後同様の行為を行う加盟店が現れ、商圏を失う損害を受ける可能性がある。
・1店舗につき777万6000円という違約金の額は、個人に対するものとしては高額すぎる。
・以上の事情等に加え、Yが契約終了までのロイヤリティ及び協賛金を支払うべきことを考慮すれば、1店舗当たりのロイヤリティ及び協賛金の6か月分をA店及びC店の2店舗分(259万2000円)を超える部分は公序良俗違反で無効である。

コメント

フランチャイズ契約の終了の場面でしばしば問題になるのは、まず、どうすれば解約できるのかという点で、次に、どのような競業避止義務を負うのかという点です。
本判決でも、この2点がポイントとなりました。
まず、解約については、裁判所は、Yが主張した合意解約を認めず、Yからの解約申入れという形での解除を認めました。
本件のように、電話で、勢いに任せて、あるいは本部からの圧力等に負けて、「じゃあ解除します」というようなやり取りがされてしまうことはひょっとすると珍しい話ではないかもれません。
本件で実際にどのような電話のやり取りがなされたのかは、当事者のみぞ知る事実ということになりそうですが、もし本当にYが主張するようなやり取りがあったとしたら、その電話のやり取りで契約は解除されたものだと誤解してしまう加盟店の方がいてもおかしくありません。
しかし、その判断が危険であるということは、本判決を呼んで頂ければお分かりになろうかと思います。本件のYも、終わったものと思っていた契約が実は存続しており、約3ヶ月分のロイヤリティ及び広告協賛金として200万円以上ものお金を支払う義務が認められてしまいました。本件では、Yからの書面による解約申し入れという条項のおかげで、本件回答書の送信から3ヶ月をもって解約という判断がされましたが、仮にこのような条項がなかったとしたら・・・と思うと怖いですね。
加盟店の方がこのような事態に陥らないためには、自らのフランチャイズ契約書にしっかりと目を通すことが一番ですが、どうしたら解約できて、どういう場合は解約できないのかという判断は、契約書の文言のみならず、法律的な知識を要することも多いでしょう。お困りのときは、法律の専門家に相談することをお勧めします。

次に、競業避止義務については、本件のYが競業避止義務に違反していたことは、法的な判断としても覆すことは難しそうですが、それによる違約金の支払義務については裁判所においても、Xの違約金の定めが高額にすぎるとしてその一部を公序良俗違反により無効としています。
本件各契約の規定をそのまま当てはめれば、1555万2000円という額になりますから、個人が払うべき金額としては高額すぎるというのは一般人の感覚からしても明らかです。本件では約6分の5程度が無効とされていますが、公序良俗違反の判断は、当該事案のさまざまな事情を総合的に考慮して決められるものですので、どの程度の支払義務を負うのかは、一概には判断できません。
本件判決のポイントとなっているのは、競業避止義務違反による違約金の定めが、損害賠償としての性格を有するのか、罰金としての性格を有するのか野判断であるように思われます。本件では、違約金の請求が、その他の損害賠償請求を妨げるものではないと規定されていたことから、罰金としての性格を有すると判断されています。そのため、XがYの競業行為によって商圏を失うなどの損害を実際に受けたことは認められていないにもかかわらず、「Yが本件で違約罰を免れれば、今後同様の行為を行う加盟店が現れ、商圏を失う損害を受ける可能性がある」との認定をして、Xに有利な判断をしているのです。
これが、損害賠償としての性格を有する規定であったとすれば、損害として発生していない上記のような可能性が損害賠償額の算定根拠として考慮されるかは疑わしいところです。
このように、単に競業避止義務違反といっても、これによる本部からの責任追及は、その規定の性格によって異なってきますので、フランチャイズ契約を解約して自身で事業を行いたいが、契約書には競業避止義務の規定があり、どのような責任を追及されるのか分からないなどとお困りの加盟店の方は、ぜひ、法律の専門家に送電することをお勧めします。

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