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フランチャイズ契約の法律相談

フランチャイザーの破産

1 フランチャイザーが破産するとフランチャイズ(FC)契約はどうなる?

今回は、フランチャイザー(本部)について破産手続が開始された場合に生じる問題点について触れます。
本部について破産手続が開始された場合、フランチャイジー(加盟店)にはどのような問題が生じるでしょうか。営業は継続できるのでしょうか。また、売上金やロイヤリティの扱いはどのようになるのでしょうか。
大手フランチャイズに加盟しているフランチャイジーの方々の中には、自分には関係のない話とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、会社の破産は水面下で準備が進められ、唐突に手続が開始されることも多々あります。本部の経営状態が良好そうに見えても、実は・・・という話は珍しくありません。いざその時になってどう対応すればよいのか分からない、という事態に備えておくに越したことはありません。

2 FC契約は継続するか?

FC契約には、本部がノウハウの開発・提供、SVの派遣等の義務を負う点から委任契約(民法643条)としての性質があります。委任契約については、当事者の一方について破産手続が開始されると契約が終了するものと民法上定められています(民法653条)。
しかし、FC契約においては、委任契約としての性質の他にも、賃貸借や売買の側面があり、これらの契約については当事者の一方の破産によっても当然に終了するとは解されていません。また、実質に即して考えても、本部による指導やノウハウの提供、商品等の供給に依存して営業を行ってきた加盟店にとって、本部の破産手続開始によりFC契約が終了するとすれば、不利益が大きいといえます。
そこで、本部の破産手続開始によってもFC契約は当然には終了しないと解することができます。

3 FC契約が継続するとどうなるか?

(1) 契約の解約か、契約の履行か

フランチャイズ契約においても、破産法53条の適用があると解されています。破産法53条とは、破産管財人(裁判所から選任され、破産者に代わって破産者の財産を管理し、債権者へ財産の配当を行う者のことをいいます。)が、契約の解約か、契約上の義務を履行して相手にも契約の履行を求めるかを選択することができるということを定めるものです。
すなわち、本部の破産管財人は、加盟店とのFC契約を解約するか、契約上の義務の履行を加盟店に請求するかを選択できることになります。
なお、加盟店は、破産管財人に対して、相当の期間内に契約を解約するのか、契約の履行を請求するのかを確答すべきことを求めることができます。そして、その期間内に破産管財人から回答がない場合には、契約は解約されたものとみなされることになります。
解約が選択された場合、それ以降は、基本的に加盟店と本部との間では新たな債権債務関係を生じません(競業避止義務・秘密保持義務については後述します)。したがって、既に発生している債権債務関係の処理や、残存する在庫や店舗の賃貸借関係の清算などの問題はなお残るものの、解約後のロイヤリティの支払義務等は負わなくなります。それと同時に、本部からの指導、ノウハウの提供、商品等の供給を受ける権利もなくなります。
契約の履行が選択された場合は、基本的には破産手続開始前と変わらず、営業が継続されることになります。契約の履行が選択された後に発生する加盟店の債権は、優先的に本部から支払いを受ける権利として扱われるため、契約の履行が選択された以後の加盟店の権利は保護されていることになります。

(2) 事業譲渡か

また、フランチャイズシステムは、システムそのものを有機的に一体となった本部の資産であると捉えることが可能です。そうすると、破産管財人としては、個々のFC契約を分解して処理するよりも、フランチャイズシステム全体を事業譲渡という形で換価する方が合理的であると判断することもありえます。
事業譲渡が行われた場合には、フランチャイズシステムは維持されたまま、本部の経営主体が事業を譲り受けた者に引き継がれることになります。したがって、システムに則った営業が継続できるという点では、加盟店にも都合がよい方法と言えます。
ただし、加盟店が、破産した本部に対して持っていた債権(未払いの売上金請求権や、保証金の返還請求権など)は事業の譲受人には引き継がれない可能性があり、その回収は困難となるおそれが高いといえます。

4 加盟店からのFC契約の解約

本部について破産手続が開始された場合、加盟店の方からFC契約を解除することはできるでしょうか。

(1) 破産手続開始前に解除権が発生していた場合

まず、破産手続開始の前に、既に加盟店にFC契約の解除権が発生していた場合、破産手続の開始前にこの解除権を行使してFC契約を解除することは当然可能です。
しかし、破産手続が開始された後であって、破産管財人が上述のように契約の履行を選択した時になって、手続開始前に生じていた解除権を行使しようとしても、加盟店側からの解除は認められないと一般的には考えられています。

(2) 破産手続の開始後に本部に債務不履行が生じた場合

また、破産手続開始後の本部の債務不履行により、契約上は解約事由に当たるべき事実が生じても、その債務不履行は破産手続内で処理されることとなっているため、解除権は発生しません。
なお、上述のように破産管財人が契約の履行を選択したにもかかわらず、その後に本部に債務不履行が発生したときは、加盟店はFC契約を解除できると解されています。

5 競業避止義務・秘密保持義務について

フランチャイズ契約においては、契約終了後も一定期間の競業を禁止したり、加盟店が本部から得た営業上の秘密を保持すべき義務を特約により定めていたりするのが一般的です。では、本部について破産手続が開始された場合、これらの義務はどのように扱われるのでしょうか。
最初に述べたとおり、本部について破産手続が開始されただけではFC契約は終了しないと解されるので、契約関係が存続する限りは、加盟店はこれらの義務を負い続けます。
では、破産管財人がFC契約の解約を選択した場合、又は、加盟店のほうからFC契約を解除した場合はどうでしょうか。
ポイントは、フランチャイズシステム自体が存続するかどうかという点にあります。
特定の加盟店がFC契約の解約又は解除によりフランチャイズシステムから離脱したのみであり、フランチャイズシステム自体は事業譲渡等によりなお存続している場合には、このフランチャイズシステムの保護(商圏や営業秘密の保護)する必要があります。そのため、システムから離脱した加盟店はこれらの義務を負い続けるものと解されます。
他方で、事業譲渡等がされないまま本部の破産手続が進行することでフランチャイズシステム自体が存続し得なくなった場合にまで、システム保護のための義務を負い続ける必要はありません。そこで、このような場合には、もはや競業を禁止したり秘密の保持を義務付けたりする特約の拘束力は失われ、加盟店はこれらの義務を負わなくなると解することができます。
なお、事業譲渡等が行われない場合であっても、破産管財人が多くの加盟店に対して契約の履行を請求しているときは、離脱した加盟店が本部の商圏で同種の事業を行うことには一定のリスクが伴います。破産手続の進行度合いによっては、なおフランチャイズシステムが存続していると判断され、競業避止義務違反を主張される可能性が残るからです。その際には、破産管財人から、競業避止義務違反による損害賠償金を請求されてしまうリスクもあるといえます。

6 まとめ

以上述べたように、本部について破産手続が開始されると、債権の回収が困難となったり、行使できたはずの解除権が制限されたりするなど、加盟店にとって不都合が生じてしまう可能性があります。また、競業避止義務や秘密保持義務の拘束力の有無についての判断は、専門家によっても見解が異なることがありえます。
このように本部の破産の際には、破産手続に関する専門知識と手続の進行を見通す専門的な判断が必要となってきますので、不安をお抱えの加盟店の方は、お早めに専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

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